こんな方におすすめ
- 軽貨物の仕事を始めようと考えている人
- 売上はあるのに生活が楽にならない配達員
- 軽貨物と会社員の収入を比較したい人
軽貨物の求人やSNSでは、「月収50万円」「売上60万円達成」「1日2万円以上稼げる」といった数字を目にすることがあります。
数字だけを見ると、会社員より大きく稼げる仕事のように感じます。
しかし、その売上を作るために、朝何時から夜何時まで働いたのかは、あまり語られません。
ガソリン代、車両リース代、任意保険、駐車場代、メンテナンス費用、税金などを差し引いた後に、実際いくら残ったのかも分かりません。
私も約5か月、軽貨物の仕事を経験しました。
朝から荷物を積み、田舎や山側のエリアを走り、夜まで配達を続ける日がありました。
売上だけを見れば一定の金額になっていても、長い拘束時間、移動距離、車両費、精神的な負担まで含めると、本当に割の良い仕事だったのか疑問が残ります。
軽貨物で知りたいのは、売上の最大値ではありません。
すべての経費と働いた時間を含めて、最終的に一時間あたりいくら残ったのかです。
この記事では、なぜ軽貨物の売上公開だけでは仕事の実態が分からないのか、時給換算する際に含めるべき時間と経費について考えます。
売上は収入ではなく、経費を払う前の数字である
軽貨物で「月に50万円稼いだ」と言われても、その50万円が本人の手元に残るわけではありません。
業務委託の配達員にとって、売上は経費を支払う前の数字です。
ガソリン代、車両リース代、任意保険、駐車場代、オイル交換、タイヤ、車検、修理費などを自分で負担します。
スマートフォンや通信費、作業着、手袋、台車なども必要です。
車両をリースしている場合、配達件数が少ない月でも、毎月決まった金額を支払わなければなりません。
私自身も、仕事を始めたばかりで十分な荷物を積めない時期に、ガソリン代やリース代の負担を感じました。
売上が少なくても、車両費が安くなるわけではありません。
さらに、売上から所得税や住民税、国民健康保険、年金なども支払う必要があります。
会社員の給与と、軽貨物の売上をそのまま比較することはできません。
例えば、売上が月50万円あったとしても、車両関係や燃料費などで10万円以上かかり、税金や社会保険の積み立てまで考えれば、自由に使える金額は大きく減ります。
一方、SNSでは「売上50万円」という目立つ数字だけが使われます。
その方が成功しているように見え、仕事への勧誘にも使いやすいからです。
しかし、本当に知りたいのは経費の内訳です。
何キロ走ったのか。
ガソリン代はいくらだったのか。
車両代をいくら払ったのか。
修理や消耗品のためにいくら確保したのか。
これらを引いた後の利益が分からなければ、その仕事が稼げるかどうかは判断できません。
軽貨物の売上公開は、店舗でいう売上高だけを見せて、家賃や人件費、仕入れ代金を隠しているようなものです。
数字が大きくても、残るお金が少なければ、生活は楽になりません。
配達時間だけでなく、積み込み・待機・持ち戻りも労働時間である
軽貨物の時給を計算するとき、実際に配達している時間だけを数えてはいけません。
朝、営業所や倉庫へ向かう時間があります。
到着後は、荷物を受け取り、伝票や端末を確認し、車へ積み込みます。
荷物量が多ければ、積み込みだけでも時間がかかります。
自分のエリアへ移動する時間も必要です。
配達が始まってからは、運転、駐車、荷物探し、端末操作、写真撮影、不在処理、顧客対応を繰り返します。
配達が終わった後も、持ち戻りの荷物を返却し、端末や伝票を処理し、車で帰宅します。
このすべてが仕事に拘束されている時間です。
例えば、配達自体は8時間でも、朝の移動と積み込み、夜の返却を含めれば、実際の拘束時間が12時間になることがあります。
日当2万円と聞けば高く感じますが、12時間働いていれば、経費を引く前でも時給は約1,667円です。
そこからガソリン代やリース代を引けば、さらに下がります。
また、配達が終わる時間を自分で完全に決められるわけではありません。
荷物量、時間指定、不在、再配達、道路状況によって終了時間が変わります。
早く終わるつもりでも、夜の時間指定が残っていれば待つ必要があります。
田舎や山側のエリアでは、一件ごとの移動距離が長くなります。
荷物数だけを見ると少なくても、走行時間が長いため、簡単なエリアとは限りません。
町中で100個配る場合と、田舎で80個配る場合では、拘束時間や疲労が逆転することもあります。
売上公開では、このエリア差が見えません。
同じ日当や個数単価でも、担当する地域によって時給は大きく変わります。
本当の時給を出すには、家を出てから帰宅するまでの時間、または仕事のために拘束されたすべての時間を計算する必要があります。
休憩を取れなかった時間も含め、現実の働き方を数字に反映させるべきです。
高売上でも、事故・疲労・精神的負担まで考えると割に合わないことがある
軽貨物の仕事は、配った分だけ売上が増える仕組みが多くあります。
そのため、荷物を多く積み、長時間働けば、売上の数字は大きくなります。
しかし、その働き方を毎日続けられるかどうかは別問題です。
長時間の運転は、身体だけでなく精神にも負担がかかります。
狭い道、無理な駐車、時間指定、不在、再配達、住所不明、悪天候など、配達中には多くのストレスがあります。
急いで件数を進めようとすれば、事故や誤配のリスクも高くなります。
売上が増えても、車を傷つけたり、事故を起こしたりすれば、大きな損失になります。
修理期間中に働けなければ、売上そのものが止まります。
軽貨物は、体と車の両方を使って稼ぐ仕事です。
どちらかが壊れれば、仕事を続けられません。
また、仕事の疲れが休日まで残る場合、単純な時給だけでは測れない負担があります。
私自身、仕事を終えた後も翌日の荷物量や難しい道のことを考え、完全に気持ちが休まらない時期がありました。
休みの初日も疲労が抜けず、生活全体が配達のために使われているような感覚がありました。
仮に計算上の時給が高くても、毎日長時間拘束され、休日も回復だけで終わるのであれば、本当にコストパフォーマンスの良い仕事とは言えません。
仕事を比較する際には、売上だけでなく、次の項目を見る必要があります。
経費を引いた利益、総拘束時間、走行距離、事故リスク、身体の疲労、精神的ストレス、休日の回復時間です。
これらを含めて初めて、自分にとって割に合う仕事か判断できます。
SNSで売上を公開するのであれば、少なくとも経費と拘束時間も併記してほしいと思います。
月商60万円、実働25日、1日13時間拘束、経費15万円と分かれば、見る側も現実的な判断ができます。
売上だけを見せるより、その方がこれから軽貨物を始める人に対して誠実です。
まとめ
軽貨物の求人やSNSでは、月商や日当などの大きな数字が目立ちます。
しかし、売上は配達員の手取り収入ではありません。
ガソリン代、車両リース代、保険、駐車場、整備費、通信費、税金などを差し引いた後に、実際に残る金額を見る必要があります。
また、時給を計算するときは、配達中の時間だけでは不十分です。
営業所への移動、積み込み、エリアまでの移動、持ち戻り、端末処理、帰宅までを含めた総拘束時間で計算するべきです。
田舎や山側では、荷物数が少なくても移動距離が長く、時給が下がることがあります。
同じ売上でも、担当エリアによって負担は大きく違います。
さらに、事故、車両故障、身体の疲労、精神的ストレスまで考えれば、高売上が必ずしも良い働き方とは限りません。
軽貨物で本当に公開してほしいのは、「月にいくら売ったか」だけではありません。
経費を引いていくら残ったのか。
何時間拘束されたのか。
一時間あたりの利益はいくらだったのか。
何キロ走り、休日にどれほど疲労が残ったのか。
ここまで分かって初めて、その仕事の現実を判断できます。
売上の数字は、人を集めるためには便利です。
しかし、配達員の生活を示す数字ではありません。
軽貨物が本当に稼げる仕事なのかを知るためには、売上公開より、経費と拘束時間を含めた時給換算を公開してほしいと思います。