こんな方におすすめ
- 軽貨物ドライバーの仕事を始めようとしている人
- 配達では「荷物を届けるだけ」と思っている人
- 住宅街や狭い道路での配達が不安な人
貨物ドライバーの仕事というと、
荷物を積む。
住所を見る。
車で移動する。
玄関まで荷物を届ける。
という流れを想像する人が多いと思います。
しかし実際に配達を続けていると、荷物を持って車から降りる前に、毎回ひとつ判断しなければならないことがあります。
それが、
「どこに車を止めるか」
です。
住所の前まで着いた。
だからすぐ降りられる。
とは限りません。
道路が細い。
家の前に車を置けない。
坂道。
対向車が来る。
後ろから車が来る。
路上駐車が難しい。
住宅の入口がどこか分からない。
こうした状況では、荷物を持つ前にまず停車場所を探すことになります。
配達件数が多い日は、この数十秒、数分の判断が積み重なります。
軽貨物では、
荷物を届ける技術だけでなく、止める場所を瞬時に判断する力
がかなり重要になります。
今回は、実際の配達で感じた「駐車場所を探す仕事」という軽貨物の一面について整理します。
住所に着いても「家の前に止められる」とは限らない
ナビ上では目的地に到着している。
しかし車を止められない。
軽貨物ではよくあります。
住宅街なら、
道幅が狭い。
家の前に他の車がある。
電柱がある。
交差点が近い。
道路の片側に溝がある。
といった条件が重なります。
特に山側や古い住宅地では、
地図だけを見ると普通の道路でも、実際に入ってみると車1台分程度しか幅がないこともあります。
そこで目的地の真正面まで行ってしまうと、
後続車が来る。
対向車が来る。
切り返せない。
という状況になります。
そのため、家を見つけることと同時に、
「少し手前で止めた方がいいか」
「通り過ぎて広い場所へ置いた方がいいか」
「このまま入ると出られないか」
まで考える必要があります。
配達を始めたばかりの頃は、
住所を見つけることだけで精一杯です。
慣れてくると、
家より先に道路を見るようになります。
この変化は大きいです。
坂道では数十メートルの差が体力に直結する
平地なら、家から50メートル離れた場所に車を止めてもそれほど問題にならないことがあります。
しかし坂の多いエリアでは話が変わります。
例えば、
20kgの水。
ペットフード。
飲料ケース。
こうした荷物を持って坂道を50メートル歩く。
これだけでかなり体力を使います。
だから、
「どこでも安全に止めればいい」
だけではなく、
荷物の重さと歩く距離まで同時に考える
必要があります。
軽い小物なら少し離れても問題ない。
しかし重量物なら、できるだけ近くまで行きたい。
ただし近づきすぎると車が出しにくい。
このバランスを毎回判断します。
さらに坂道では、
車を止める向き。
サイドブレーキ。
荷物を取り出す位置。
も気になります。
荷室のドアを開けたときに荷物が動くこともあります。
単純な一件の配達でも、
平坦な住宅街とは違う判断が増えます。
駐車場所を間違えると「配達後」に時間を失う
配達前には、
「ここなら数分だけ止められるだろう」
と思って車を置くことがあります。
しかし戻ってみると、
後ろに別の車が来ている。
対向車が待っている。
車を出すために何度も切り返す必要がある。
こうなると、届ける時間より出発するまでの方が長くなることがあります。
軽貨物では、
一件ごとの動作が次の配達へ直結しています。
玄関へ荷物を渡して終わりではありません。
車へ戻り、
次の荷物を確認し、
出発する。
ここまでが一件です。
そのため良い停車場所は、
「降りやすい場所」より「すぐ出られる場所」
であることも多いです。
目の前まで行けば歩く距離は短い。
しかしUターンに時間がかかる。
少し手前なら歩く距離は増える。
でも、そのまま次の住所へ向かえる。
配達全体で見ると、後者の方が早いことがあります。
同じエリアを回るほど「止める場所」を覚えていく
同じ配達エリアを繰り返し回っていると、住所だけでなく停車場所まで覚えるようになります。
例えば、
この家は真正面に止めると出にくい。
この住宅は20メートル手前が広い。
この坂は上まで行かず下に置いた方がいい。
この道は夕方になると交通量が増える。
こうした情報が頭に入ってきます。
するとナビだけを頼っていた頃より動きが速くなります。
家の前へ行ってから考えるのではなく、
近づいた段階で、
「ここで止める」
と決められるからです。
軽貨物で経験が効いてくるのは、道を覚えることだけではありません。
一件ごとの最適な停車位置が蓄積されること
もかなり大きいです。
逆に初見エリアでは、住所を探しながら駐車位置も探すため、どうしても時間がかかります。
荷物数が同じでも、知っているエリアと知らないエリアで難易度が変わる理由のひとつです。
早さより「邪魔にならない止め方」を優先した方が結果的に安定する
配達件数に追われると、
「少しくらいならここでいいだろう」
と思いたくなる場面があります。
しかし無理な停車をすると、
他の車を止める。
住民の出入りをふさぐ。
見通しを悪くする。
急いで戻らなければならなくなる。
結果として、焦りが増えます。
配達は一件だけでは終わりません。
その後も何十件と続きます。
だから一回の数十秒を惜しむより、
安全に止める。
周囲を確認する。
次に出やすい位置を選ぶ。
という方が、長い目では安定します。
特に狭い道路では、
車を置いてから、
「これはまずかった」
と気づいても遅いことがあります。
配達速度は、
走る速さだけでは決まりません。
停車・荷物取り出し・配達・再出発までを滑らかにつなげること
の方が重要です。
まとめ|軽貨物は「運ぶ仕事」である前に、空間を読む仕事でもある
軽貨物を外から見ると、荷物の量や走行距離ばかりに目が行きます。
しかし現場では、道路幅、坂、住宅の入口、交通量、次の進行方向まで短時間で見ながら動くことになります。
この判断がうまくなると、無駄な切り返しや遠回りが減り、身体への負担も少し抑えやすくなります。
逆に、どれだけ住所を早く見つけても、毎回車の置き方で詰まれば流れは作れません。
配達の効率を左右しているのは、玄関までの数十秒だけではなく、その前後にある細かな判断です。
「荷物をどこへ持っていくか」だけでなく、
「車をどこに残していくか」
まで考える。
この視点を持つと、軽貨物という仕事の見え方はかなり変わります。